アルコールインクアート:赤系コピックインクの沈み込み解決/表現テクニック

アルコールインクアート インク

 

この章でわかること

  • コピック赤系インクで発生する「沈み込み」現象の完全解決法
  • 夕焼けや夜明けの空を表現するための淡色(RV系)の使い方
  • 躍動感のある「炎(火)」の作り方と濃色の独自の配置テクニック
  • 赤系の鮮やかさを長持ちさせる裏技的なメンテナンス方法

 

 

 

 

濃色(R系)の比重の高さによる「沈み込み」現象

濃色(R系)の比重の高さによる「沈み込み」現象コピックの赤系インク、特にR39(ガーネット)R89(ダークレッド)といった濃い品番は、他の色系に比べて色素の比重が高い傾向にあります。

これが、インクアートで風やアルコール(0番)を多用すると、濃い赤の色素がユポ紙の最下層に沈み込み、結果として黒ずんだり、濁った茶色のように見えてしまう現象を引き起こします。

これが、多くの人が経験する「色が沈んでしまった」失敗の正体です。

失敗事例

濃い赤を広範囲に使うと、乾いた後に予想以上に暗く、汚れたように見えることがあります。

これは、インクを垂らす順序や量が適切ではないサインです。

混色で濁りやすい相性の悪い色とは?

赤は色彩学上、緑系(G/YG系)と補色関係にあります。

青系インクの記事でも触れたように、補色同士のインクが全体に混ざりきると、鮮やかさを失い濁った灰色や茶色に変化してしまいます。

また、濃い赤系は、濃い青(B29など)とも混ざりすぎると紫を通り越して黒に近い色になるため、インク同士がぶつかる境界線のコントロールが非常に重要になります。


 

【空の色を混ぜる】夕焼け・夜明けの幻想的な表現技法

 

グラデーションに最適な赤系品番(RV系、R系)

夕焼け空の表現では、鮮やかな赤(R系)だけでなく、RV系(赤紫)YR系(黄赤)を効果的に使うのがコツです。

夜明けの淡いピンク:RV00(ウォーター・リリー)など、非常に淡くクリアでベースカラーとして最適。

夕焼けの鮮やかな赤:R20(ブラッシュ)など、色が強すぎず、アルコールで広げやすい明るい赤。

紫のニュアンス:RV23(ピュア・ピンク)など、空の深みや幻想的な雲の表現に効果的。

沈み込みを防ぐ夕焼けグラデーションの独自手順

濃い赤系インクを使う場合は、青系の手順とは逆の「インクを垂らす順序」を意識することが成功の鍵です。

ベース作り:まずRV00などの淡色とYR系(オレンジ)を広範囲に広げ、エタノールで流動性を持たせておく。

濃色を配置:沈み込みを防ぐため、R29などの濃い赤は「色を決めたいごく狭い範囲」に最小限だけ垂らします。

独自手順:濃い赤を垂らしたら、すぐに上からエタノールを重ねず、濃い色の「フチ」に向かって淡い色を流し込むように風を当ててください。

これにより、濃い色素が下層に沈む前に、淡い色素で周囲と馴染ませることができます。

 


 

【応用技法】躍動感のある「炎(火)」の表現

 

炎の作例に最適な品番のセレクト基準(R系、YR系)

躍動感のある炎には、純粋な赤(R系)と鮮やかなオレンジ(YR系)のコントラストが必須です。

炎の芯(熱源):R35, R43など、鮮やかさが強い純粋な赤。

炎の先端・影:YR09など、赤みの強い深いオレンジ。

スス(アクセント):E79, 100など、茶色や黒で炎の動きの影を表現。

躍動感を生む「風」の当て方とインクの配置

炎のインクアートは、青系の「広げる」技法とは異なり、「引き延ばす」技法を使います。

インク配置:紙上にR系(赤)、YR系(オレンジ)、Y系(黄)を縦方向に並行して配置し、あえて混ざりきらないようにする。

風の当て方:青系で使った「弱風」ではなく、コイズミのカーリングドライヤーの「強風モード」でインクを一度に引き延ばします。

風を紙の端から中央に向かって一気に当てることで、炎が燃え上がるような躍動感ある流れが生まれます。


 

赤系の発色を活かす「コピックと他社メタリック」の組合せ

 

赤と相性抜群のメタリックカラー(ゴールド・コッパー)

炎や夕焼けの作品に、ゴールドやコッパー(銅色)のメタリックインクを少量加えることで、高級感と熱の光を表現できます。

特に赤はゴールドとの相性が抜群です。

ピニャータのBrassやRichgold,copperはうまくラインで入ると力強さやとても煌めきを感じるアートになります。

赤系のインクにメタリックインクを垂らすタイミングは、「インクが乾ききる直前」がベストです。

これにより、メタリックの比重で色が沈みすぎるのを防ぎ、表面の揺らめきだけを表現することができます。

エタノールを少し足しメタリックがその場所にとどまらないよう調整して風を当てます。

鮮やかさを保つためのメンテナンスと保管法

インクは、他の色系に比べて光による色飛び(退色)が起こりやすい特性があります。

作品が完成した後、UVカットスプレーをコーティングしたり、直射日光の当たらない場所で保管することが、

鮮やかな赤色を長期的に保つための必須事項です。

UVスプレーはどの色にも必要だと私は考えています。

コーティングを施してあると多少インクが濃くベタつく場所もしっかりコーティングされ自然に仕上がります。

色ならではの特性やポイントを考えながら作品に活かしていきたいと思います。

 

次回は、また違う色の解説をしていきます。

青系インクはこちらから

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コピック青系インクのアルコールインクアート海や空の表現に最適な青系コピックの品番などの説明 青の美しさを引き出す相性抜群の混色インク

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